Mr.トーマのアニマリュージョン!ブログ

アニマリュージョン!は熊本県阿蘇のカドリー・ドミニオンで行われているファンタジックアニマルショーです。このブログではショーだけに関わらず、広く地域情報や動物訓練に関しての話題を提供しております。

コンゴウインコのチビちゃんのフライングフォーム改造計画 その9

もう能力的にはできてもおかしくないはずなのに、リング3つのうち一つだけを避けて通るチビちゃん。

 

もう、もどかしくてしょうがありません。

これまで培ってきた動物訓練の知識と経験を総動員し、ある対処法を試みました。

それは・・・

 

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いかにも鳥が嫌がりそうな旗を近くにぶら下げてみる。

 

 

私は、チビちゃんが真ん中のリングをくぐるかどうかの判断は、ほんのささいなことだと考えました。

どちらが安全で効率よくと飛べるかの比較では半々よりほんの少し外側の方が上、つまり49対51くらい僅差な優劣の差で、ほぼ100%外側を通るのだと。

だから、外側を通った時に右側に得体のしれないものがあるというだけでちゃんとリングの中を通る方が安全と考えるのではないかと。

しかし、この方法は上手くいきませんでした。旗があってもそれに臆せず、リングの外側を通るのです。

 

仕方がないので、あきらめて練習法を変えました。

ステージ上から飛ばし、リングは1つ目と2つ目だけを設置する練習法です。

これは、非常に時間がかかる可能性があるので、できればやりたくなかった選択です。理由は順に説明ます。

 

チビちゃんは、3つ目のリングをくぐってトレーナーの腕に戻ってきたらご褒美がもらえることを、完全に理解しています。逆に言うと、3つ目のリングさえクリアすれば良いと理解しています

1つ目は、スタート地点からすでに見えているターゲットだからくぐりますが、2つ目もくぐらないといけないことは理解していません。

 

3つ目のリングだけを設置しないパターンのメリットは、2つ目をクリアしたらご褒美を与え、クリアせず戻ってきたらご褒美を与えないことで、2つ目のリングを通過しなければならないことを理解させることが可能だということです。

しかし、これを繰り返すと、今度は3つ目のリングをくぐらないで帰ってくる軌道を新たに開発させる事になります。つまり、3つ目をくぐらないための練習をしているのと同じだというデメリットがあるのです。

そのルートが強化されると、それを忘れさせるためにまた1番と3番のみの練習が必要で、するとまた2番をくぐらなくなる恐れがあります。

そうなってしまったら、さらに本来の正攻法でやりなおさねばなりません。

正攻法とは、ゴール側から訓練を初めてスタート地点を遠くしていく方法です。つまり3番のみを通過して帰ってくる軌道をまず教え、それができたら2番を追加し、最後に1番をくわえるという回りくどい練習です。

 

百里の道を九十九里をもって半ばとす」

これは目標の99%まできるようになって、やっと半分まで来たのだと思って気を抜くなという格言ですが、まさに今の状態はそんな感じです。

でも、もうほとんどできているのに、あと半分?と思いながら、次回に続きます。

 

今シーズンはほとんど季節感のないマニアックな話題ばかりでしたが、ご勘弁ください。

それでは皆様、良いお年を。

コンゴウインコのチビちゃんのフライングフォーム改造計画 その8

くぐり抜けるリングの数を増やしていく訓練です。

前回までで全部で3つのリングのうち、2つ目だけを観客席側から飛ばしてクリアできるという状態になっています。

 

まず、1つ目のリングに挑戦です。これは今の2つ目のリングをくぐるのとほぼ同じ軌跡で場所が変わるだけですから、できる能力はあるはずです。

しかし、このリングは構造上、本番の位置より下げることができないので、低い場所から少しづつ上げるという訓練ができません。

勝算は高いものの、一か八かになってしまいますから、ここに一番気をつかいました。本当に満を持しての挑戦で、一発目からクリアすることができました。

しかし、チビちゃんも慣れない軌道に力みが生じるらしく、これはとにかく疲れるのが早いです。疲れるということは、それだけ飛ぶのに嫌なイメージがつきます。だから一度クリアしたからといってそれだけを何度もさせず、初めの2回は一つ目のみを飛ばし、残りは体力づくりの為にも今まで通り2つ目のリングのみを通過させることで、しばらくは一つ目のリングをリラックスして飛べるならし期間としました。

 

そして次の段階は、1つ目と2つ目の連続くぐりです。

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写真を撮り間違えました。これは2つ目と3つ目。

 

リングが一つの時は、リングを頂点とした山なりの軌跡で飛びます。

しかし、2つになると間に水平飛行が入りますから多分、3つリングがある時と同じ軌跡で飛ぶのじゃないかと想像しました。

やってみると、まさに想像通りでした。

となると、ボーナスポイントではないですが、次はもう3つのリングに挑戦となります。そして、初回から成功しました。

 

あとはもう一つの点をクリアしたら、目標達成です。

その点とは、まだスタート地点が観客席からですから、これを舞台側からにすること。

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この止まり木にいるチビちゃんの位置が、今までのスタート地点です。

 

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この止まり木の位置から飛ばして、クリアできたら目標達成です。

 

今までの進歩の遅さからは信じられないくらいの早さで一気にリング3つまでこぎつけたのですから、もうこれでシリーズ完結かと思いました。

実際、一度はステージ上から完ぺきに成功しました。

 

しかし、その次の日。もうテストで言ったら確かめ算、スポーツで言ったらウイニングランくらいの気持ちでやってみると、2つ目のリングの外側を通ってしまいました。

時間をおいて何度やっても、2つ目だけ外にふくらんで避けます。

スタート地点を観客席に戻すと、3つともクリアします。

試しに、スタートはステージ上で、リングの1つ目と2つ目だけしたら、これも成功します。

他も試すと、スタートも含めた4つのポイントのうち、どれか一つをなくせばできるという不思議な状態になりました。

というわけで、今回が完結編とはいきませんでした。

 

このパズルのような問題を、どうクリアしていけばいいのか。

まず思いついたのは、しばらくは2つ目のリングだけをなくして練習するというアイデアです。というのも、2つ目がない状態が一番本番の軌道に近いからです。

不思議なことに、リングがない時はほとんどリングの場所を通るのに、リングを設置するとあえて避けるように見えるのです。

 

もうこのレベルになると、スタミナ不足から失敗するのは避けたいので、一回飛ばしたら3~4分休ませて、5回飛ばすのにも20分くらい費やすという感じです。

インターバルを開けすぎるとモチベーションが下がるらしく、一日の中でちゃんと訓練できるのは、この20分だけです。

貴重な5回のフライングを全てこの練習にそそいで、三日経過しました。

いよいよ、真ん中のリングも設置。

結果は・・・

 

・・・見事に真ん中の一つだけ避けやがりました。

とほほ。

 

こうなると、次の作戦は・・・次回に続きます。