コンゴウインコのチビちゃんのフライングフォーム改造計画 その10完結編
皆様、あけましておめでとうございます。
新年の朝は、とても良いお天気に恵まれました。いつものルーティンである犬たちのお世話、まだ若いスタンダードプードルのサンディを連れて運動がてらフライングディスク遊び、そしてその後は残りの犬たちを引き連れてのいつものお散歩。
開園前の園内はとても静かで、年が明けたとは思えないくらい、平和ないつもの日常です。
去年はいろんなことがありましたが、今、こうして毎日変わらず犬たちと過ごせる幸せを感じます。平穏が一番です。
お散歩の終わり間際に、軽いミスに気がつきました。
もう少し早ければ、朝日をバックに犬たちの写真が撮れたのに、と。
そんなわけで、今回はチビちゃんの完結編なのに鳥の写真がありませんから、朝日に間に合わなかった犬たちの写真をどうぞ。
このバックに太陽が欲しかった・・・
犬たちともども、今年もよろしくお願いいたします。
では昨年から引き続き、チビちゃんの話題です。
どうやら今回がめでたくシリーズ完結です。
前回までで、まだまだ時間がかかるのかどうか、気を揉む訓練に入りました。
ここでのポイントはあまり数多く飛ばして、鳥を疲れさせないことです。体力がある時は上昇時にスピードと勢いがありますから、そのままスムーズに水平飛行をして、リング通過後も急カーブすることなく大回りをして戻ってきます。これもリング3つの時と同じ軌道で飛ぶのとほぼ変わらない感じです。
しかし、疲れてくると上昇もやっとになります。すると、リング2つを通過したあとはこちらの腕に最短距離で、まるでパラシュートでも飛び降りてくるように近づいてきます。これを繰り返してしまうと、また3つ目のリングの強化からやり直さないいけません。
ですから、相当慎重に、フライングの間隔を5分くらいあけてじっくりと取り組みました。
結果は見事、間もなくリング3つともくぐれるようになりました。
一連の練習でチビちゃんも体力がつき、3分のインターバルで10回連続クリア、つまり所要時間約30分の練習もできるようになりました。
3日くらい成功が続いたので、もう大丈夫だろうと思いました。
その後、自分の休みやハチローの手術などの兼ね合いで、3日練習の間隔が開きました。
そのくらいは大丈夫だろうとタカをくくっていたら、その次の日はまた飛べなくなっていました。今度は1番目のリングに届かなかったり、最後の3番目だけ飛ばずに戻ってきたりと、今までにはあまりなかった軌道の失敗をするのです。
またか、と気落ちもしましたが、新たな発見でもありました。いろいろな軌道で飛べるということは、しばらく飛ばないと体力はすぐに落ちてしまうものの、飛ぶこと自体はとても上手くなっているということです。
コンゴウインコはとても長生きで、25年から長ければ100年近く生きたという記録もあり、かなり幅があります。チビちゃんも確か20歳は越していて、生き物としての年齢は今の私とそう変わらないのではないかと思います。
チビちゃんのフライングの休憩中に、時間を持て余してストレッチ体操などしていると、我ながら「1日や2日のブランクでこんなに?」と思うくらいに体が硬くなっていたりします。
年齢を重ねるほど、できるだけ毎日の継続が必要だなと痛感します。
まだ、具体的にどういう形で出演するかは決まっていないチビちゃんですが、これをまた崩してしまうのはもったいないと思っています。
この、チビちゃんに費やしてきたエネルギーは、同じことを全く飛んだことがない若い鳥に適応したとしても、同じ結果になっていたのではないかと思うくらいです。鳥の訓練の追体験というか、総決算というかダイジェストというのか、これをこのタイミングで経験させてもらったチビちゃんに感謝です。
コンゴウインコのチビちゃんのフライングフォーム改造計画 その9
もう能力的にはできてもおかしくないはずなのに、リング3つのうち一つだけを避けて通るチビちゃん。
もう、もどかしくてしょうがありません。
これまで培ってきた動物訓練の知識と経験を総動員し、ある対処法を試みました。
それは・・・
いかにも鳥が嫌がりそうな旗を近くにぶら下げてみる。
私は、チビちゃんが真ん中のリングをくぐるかどうかの判断は、ほんのささいなことだと考えました。
どちらが安全で効率よくと飛べるかの比較では半々よりほんの少し外側の方が上、つまり49対51くらい僅差な優劣の差で、ほぼ100%外側を通るのだと。
だから、外側を通った時に右側に得体のしれないものがあるというだけでちゃんとリングの中を通る方が安全と考えるのではないかと。
しかし、この方法は上手くいきませんでした。旗があってもそれに臆せず、リングの外側を通るのです。
仕方がないので、あきらめて練習法を変えました。
ステージ上から飛ばし、リングは1つ目と2つ目だけを設置する練習法です。
これは、非常に時間がかかる可能性があるので、できればやりたくなかった選択です。理由は順に説明ます。
チビちゃんは、3つ目のリングをくぐってトレーナーの腕に戻ってきたらご褒美がもらえることを、完全に理解しています。逆に言うと、3つ目のリングさえクリアすれば良いと理解しています
1つ目は、スタート地点からすでに見えているターゲットだからくぐりますが、2つ目もくぐらないといけないことは理解していません。
3つ目のリングだけを設置しないパターンのメリットは、2つ目をクリアしたらご褒美を与え、クリアせず戻ってきたらご褒美を与えないことで、2つ目のリングを通過しなければならないことを理解させることが可能だということです。
しかし、これを繰り返すと、今度は3つ目のリングをくぐらないで帰ってくる軌道を新たに開発させる事になります。つまり、3つ目をくぐらないための練習をしているのと同じだというデメリットがあるのです。
そのルートが強化されると、それを忘れさせるためにまた1番と3番のみの練習が必要で、するとまた2番をくぐらなくなる恐れがあります。
そうなってしまったら、さらに本来の正攻法でやりなおさねばなりません。
正攻法とは、ゴール側から訓練を初めてスタート地点を遠くしていく方法です。つまり3番のみを通過して帰ってくる軌道をまず教え、それができたら2番を追加し、最後に1番をくわえるという回りくどい練習です。
「百里の道を九十九里をもって半ばとす」
これは目標の99%まできるようになって、やっと半分まで来たのだと思って気を抜くなという格言ですが、まさに今の状態はそんな感じです。
でも、もうほとんどできているのに、あと半分?と思いながら、次回に続きます。
今シーズンはほとんど季節感のないマニアックな話題ばかりでしたが、ご勘弁ください。
それでは皆様、良いお年を。