Mr.トーマのアニマリュージョン!ブログ

アニマリュージョン!は熊本県阿蘇のカドリー・ドミニオンで行われているファンタジックアニマルショーです。このブログではショーだけに関わらず、広く地域情報や動物訓練に関しての話題を提供しております。

サンディちゃんの芸犬修業 シットアップの巻


アニマリュージョン!6月の休演日は→こちら
 


「シットアップ」とは、オスワリの状態から両手を浮かすという芸です。
わかりやすく言うと「ちんちん」のことですが、特にネットでは何らかのブロックがかかってヤフーキッズとかで検索できなくなると困るので(?)、「シットアップ」で統一します(ちなみに、ボディビル界では腹筋運動のことを指すらしいですね)。
 

f:id:mrtoma86:20170525101753p:plain

サンディちゃんの話題ですが、しばしお待ちを。
 
この、ちん、いや「シットアップ」は、もっと早くに取り組みたかったのですが、もうレイザーラモンRGの「あるある」並みに、じらされました。
芸の教え方自体は立ち歩きとさほど変わらない為、単調な内容になりそうですから、今回はなぜ焦らされたのかを中心にお話しします。
 
私が犬を訓練する時の留意点として、「行動形成は一つづつ行い、強化は複数にわたっても良い」というものがあります。
なんのことか、わかりづらいですよね。
 
例えば、私がかつてクマに芸を教えていた頃は、「逆立ち」と「でんぐり返し」同じ時期に教えないように気をつけました。基本姿勢が似ているので、混同するからです。
また、「玉乗り」と「三輪車」も、同時期に教えてしまうと、クマは三輪車のハンドルに登りたがるようになってしまいます。
混同する時、動物は大抵簡単な方の芸をやりたがってしまいますから、難しい方の芸を先に教えるのがセオリーです。
 
だからサンディちゃんの場合、難しい方の立ち歩きから先に教え始めました。念のため次の芸としてすぐには「シットアップ」に取り組まず、間に「オテ」を入れました。
すると今度はオテを忘れさせるため(詳しくは前回参照です)、「タッチ」や「ハーイ」を教える必要が出てきました。
 
この「シットアップ」を焦らされている間は、どんどん不安が募ります。なぜなら、「シットアップ」と「立ち歩き」との関係は相反することが多く、片方が得意ならもう片方は苦手となる犬もいるからです。
先輩犬である豆柴の兄妹、ゴンちゃんとシーナちゃんは典型で、シーナはシットアップができませんし、ゴンちゃんは立ち歩きが苦手です。
 
サンディちゃんは以前このブログでお伝えした通り、立ち歩きをメキメキと覚えました。果たして、「シットアップ」は大丈夫なのだろうかと複雑な思いでした。
 
やっと教えるべき時期が来て取り組んでみると・・・
何と、こちらの気苦労をよそに、2日で行動形成が出来上がってしまいました。
 

f:id:mrtoma86:20170525102151p:plain

それから程なく、いつもの私の行動形成の目安である「自分で写真を撮れること」が可能となりました。
 
しかし、芸を混同して覚えないようによほど気を使って教えても、やはり「ハーイ」が筋肉の記憶に残るらしく、両手が挙がってしまいます。これはこれでかわいいのですが、いったん消去する必要があります。
消去の方法は単純で、手が下がるまで待ってから褒めること。

 

f:id:mrtoma86:20170525102547p:plain

この手が正しい「シットアップ」です。
 
スタンダードプードルは小さい頃は本当にやんちゃで、「ナントカと天才は紙一重」なところがあるのですが、最近のサンディちゃんは芸の覚えがとても早く、「紙一重で天才の方かも」と思えてきます。
 
・・・以上、親バカ発言でした。

サンディちゃんの芸犬修業 オテ、ハイタッチ、そしてハーイの巻 その2

 

アニマリュージョン!2071年6月の休演日は→こちら

 

のっけから話がそれますが、動物園等で飼っているインコは、「コンニチワ」とか「オハヨウ」という言葉を勝手に覚えてしまうことがあります。なぜかといえば、お客様がとりあえずそう話しかけるからです。
定番というのか、インコには「こんにちは」と話しかけますし、犬にはオスワリ、オテをつい試してしまうものです。

かたや盲導犬など、少し本格的な訓練を施される犬たちは英語のコマンドで訓練されることが多いです。
その理由として一般的に言われるのは、日本語は「おいで」とか、「来なさい」とか、「来い」とか色んな表現があるけれど、英語なら「カム(Come)」一つしかないから動物を迷わせないということです。
しかし私はそれよりも、他の人が簡単に合図を出さない為という事の方が強い理由だと思います。
犬に向かって、「よしよし、おいで」というのは簡単ですが、「カム、グッ ボーイ」などと話しかけるのは、なかなかに勇気がいります。
それだけの勇気と必要性があって、ただの冷やかしではなく出した合図ならば、誰の言うことでも聞くというのが理想だと考えるわけです。

ようやく本題に入りますが、オテは誰でも不用意に簡単に合図を出してしまうので、少しハードルの高い「タッチ」のみを教えたいのです。
これはそれほど難しい芸ではなく、犬側はオテの手を幾分高く上げる、人間側は差し出す手をハイタッチの形にするだけです。

そしてさらに、その芸を「ハーイ」に進化させます。
それは、ハイタッチ形の手を犬側に先に出させて、こちらがタッチに応じてあげるまでの時間をほんの0コンマ何秒ずつ伸ばしていくことで可能となります。

f:id:mrtoma86:20170524144405p:plain

今のところ、2秒くらいでしょうか。
 
 
さらに、ここからはネタとなるわけですが、「ハーイ」ではなく、「ヒト」というコマンドで手を挙げるように訓練していきます。ヒトとは、「人」のことです。
 
そうすると、いろいろなボケのパターンが作れるのです。
私が良く使うのは、「この中で、犬の?」
あと、「オテができない?」などもまあまあのウケです。
 
あとはもう、一人芝居。「犬の?」で手を挙げさせた後にいろいろとカブせます。
「あれ、表現がおかしいね。この中で、犬の犬? …もはや意味がわからないか。」
「今の冗談、つまらないと思う? …サンディちゃんだけか。良かった。」など。
 
来年のGWまでには、そんなことできたらいいなと、今からワクワクしています。


最後に皆様に質問。
そんなボケに付き合わされるサンディちゃんは、実は迷惑がってると思う人?