Mr.トーマのアニマリュージョン!ブログ

アニマリュージョン!は熊本県阿蘇のカドリー・ドミニオンで行われているファンタジックアニマルショーです。このブログではショーだけに関わらず、広く地域情報や動物訓練に関しての話題を提供しております。

サンディちゃんの芸犬修業 背中乗りの巻

アニマリュージョン!6月の休演日は→こちら
 

ほんのたまにですが、アニマリュージョン!ショー終了後のお見送りに出た時などに、お客様にこう聞かれることがあります。
「あの、何年か前に遊びに来たことがあるんですが、シェパードを背中に乗ってけませんでした?」
 
今でも一緒にショーに出ているシェパードの「ハチロー」の背中乗せの芸は、アニマリュージョン!立ち上げ前の当時は気軽に行っていました。
確か、当時のパンフレットにもその写真が使われていたと思います。
 

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この写真。今見ると、懐かしさより恥ずかしさが先に立ちます。
 
数年前の事を思い出していただけるというインパクトがあるのですから、この背中乗りの芸をサンディちゃんにも教えたいと思った次第です。
 
ハチローに教えた当時、結構苦労した思い出があります。
例によって自力で、人の手を借りずに教えた当時を振り返ってみます。
 
まず、導入の訓練として狭い台の上に乗せる訓練をします。大きさは大体、瓶ビール1ダース用のケースくらいでしょうか。これを「ダイノッテ(台乗って)」のコマンドで固めます。
 
それができるようになったら、自分はその台の向こう側で四つん這いになり、「ダイノッテ」の言葉のみで台に乗るよう強化していきます。
そして徐々に台を、四つん這いの自分のお腹の下にずらしていくという作戦を試しました。
 
しかしハチローは、忠誠心と服従心が強いシェパードという犬種ゆえなのか、絶対に背中に乗りたくないという意志を感じました。台の上に完全に覆いかぶさると、全く乗ろうとしなくなります。
そこで台を横長に置いて、体を台の真ん中に渡し、台の両端が5~6cm余るようにしてみました。いくらなんでも、4本ある足のうち1本くらいは体に乗るだろうと思ったら、見事に体を避けます。
それじゃあと、ハチローの手前側には隙間を開けず、向こう側が10数cmあくようにしてみたら、器用に私をまたいで、その10数センチの隙間に4つの足全部を乗せるのです。
これを強化していけば、ロープ渡りとかできちゃうんじゃない?と思うような頑固さでした。
 
そこで、この作戦はあきらめました。
台の上に背中をつけて仰向けになり、おやつのご褒美を与えながら、前足をおなかに乗せることから地味にやり直したのです。
前足の両方を乗せることができるようになったら、今度は同じことを、自分が足を広げた股の方から行います。縦方向にしないと、4足歩行の犬を乗せるスペースが取れないからです。
こうして背中ではなく、トレーナーの体に手足を乗せてもいいのだよとまず教え、その後元の訓練法に戻って背中乗りが完成したわけです。
なんやかんやで、10日くらいはかかったと思います。
 
その経験を生かして、サンディちゃんに教えてみると・・・
一日10分の訓練で、なんと3日で覚えてしまいました。
天才なのか、服従心の無さがなせる業なのか。
 
しかし、ここで問題発生。
私の行動形成の目安は、「自分で写真が撮れるようになること」です。どうやって自分で撮るのか考えました。すると、ひらめきました。
 
毎朝、サンディちゃんと訓練やフライングディスクでの運動をしている場所は、園内のレストラン「B・ベア」のすぐ横です。

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このガラス、使えるなと。
 


試してみたのがこの写真。

 

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いつかは、ちゃんとした写真を・・・
 
アップしませんよ。
いつか、現物を見に来て下さいね。

サンディちゃんの芸犬修業 シットアップの巻


アニマリュージョン!6月の休演日は→こちら
 


「シットアップ」とは、オスワリの状態から両手を浮かすという芸です。
わかりやすく言うと「ちんちん」のことですが、特にネットでは何らかのブロックがかかってヤフーキッズとかで検索できなくなると困るので(?)、「シットアップ」で統一します(ちなみに、ボディビル界では腹筋運動のことを指すらしいですね)。
 

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サンディちゃんの話題ですが、しばしお待ちを。
 
この、ちん、いや「シットアップ」は、もっと早くに取り組みたかったのですが、もうレイザーラモンRGの「あるある」並みに、じらされました。
芸の教え方自体は立ち歩きとさほど変わらない為、単調な内容になりそうですから、今回はなぜ焦らされたのかを中心にお話しします。
 
私が犬を訓練する時の留意点として、「行動形成は一つづつ行い、強化は複数にわたっても良い」というものがあります。
なんのことか、わかりづらいですよね。
 
例えば、私がかつてクマに芸を教えていた頃は、「逆立ち」と「でんぐり返し」同じ時期に教えないように気をつけました。基本姿勢が似ているので、混同するからです。
また、「玉乗り」と「三輪車」も、同時期に教えてしまうと、クマは三輪車のハンドルに登りたがるようになってしまいます。
混同する時、動物は大抵簡単な方の芸をやりたがってしまいますから、難しい方の芸を先に教えるのがセオリーです。
 
だからサンディちゃんの場合、難しい方の立ち歩きから先に教え始めました。念のため次の芸としてすぐには「シットアップ」に取り組まず、間に「オテ」を入れました。
すると今度はオテを忘れさせるため(詳しくは前回参照です)、「タッチ」や「ハーイ」を教える必要が出てきました。
 
この「シットアップ」を焦らされている間は、どんどん不安が募ります。なぜなら、「シットアップ」と「立ち歩き」との関係は相反することが多く、片方が得意ならもう片方は苦手となる犬もいるからです。
先輩犬である豆柴の兄妹、ゴンちゃんとシーナちゃんは典型で、シーナはシットアップができませんし、ゴンちゃんは立ち歩きが苦手です。
 
サンディちゃんは以前このブログでお伝えした通り、立ち歩きをメキメキと覚えました。果たして、「シットアップ」は大丈夫なのだろうかと複雑な思いでした。
 
やっと教えるべき時期が来て取り組んでみると・・・
何と、こちらの気苦労をよそに、2日で行動形成が出来上がってしまいました。
 

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それから程なく、いつもの私の行動形成の目安である「自分で写真を撮れること」が可能となりました。
 
しかし、芸を混同して覚えないようによほど気を使って教えても、やはり「ハーイ」が筋肉の記憶に残るらしく、両手が挙がってしまいます。これはこれでかわいいのですが、いったん消去する必要があります。
消去の方法は単純で、手が下がるまで待ってから褒めること。

 

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この手が正しい「シットアップ」です。
 
スタンダードプードルは小さい頃は本当にやんちゃで、「ナントカと天才は紙一重」なところがあるのですが、最近のサンディちゃんは芸の覚えがとても早く、「紙一重で天才の方かも」と思えてきます。
 
・・・以上、親バカ発言でした。