Mr.トーマのアニマリュージョン!ブログ

アニマリュージョン!は熊本県阿蘇のカドリー・ドミニオンで行われているファンタジックアニマルショーです。このブログではショーだけに関わらず、広く地域情報や動物訓練に関しての話題を提供しております。

心のリミッター解除!

人前で動物を褒めるって、最初はなかなか照れるものです。それこそムツゴロウさん流の「よしよしよしよーし、お前はいい子だね。ちゅう!」なんて。アルソック体操の方がまだましだというくらい気恥ずかしいものです。

 

出る杭は打たれる人間社会で生活していると、自然と人前で恥をさらせない心のリミッターができちゃうんですね。

リミッターとは、能力制御装置です。車やバイクって、スピードが出過ぎないように、エンジンの回転を一定数以内に抑える制御装置がついているんです。

 

高校生くらいの頃は、もちろん違法改造でやってはいけないことですが、「オレ、バイクのリミッター解除してもらったよ。そしたらよ、すげえスピード出るの。」なんて会話を、私は、電車の中でヤンキーたちがしているのを、聞いていました。

 

「言い回しがパンクブーブーか! バイクだけに!」、というツッコミを思いついてくださった方には、心の座布団を3枚さしあげます。

 

で、ですね、そういう感情表現の制御装置がすでに自分に備わっていて、それを外すことが出来たら、まずトレーナーとして一皮むけるんです。トレーナーどころか、パフォーマーとしても、人としても。だからこれは、必須だと思います。動物トレーナーも、劇団養成所みたいにオーバーリアクションをとる練習をした方がいいと思います。

その為には、大声を出してみるというのがまず一番ですかね。カラオケボックスで、マイクなしで叫んでみるとか。

 

ただ、ここから先が難しいところです。

若いトレーナーたちは、ここをクリアしたことでいっぱしの気持ちになって、制限なしでどんどん突っ走っちゃうんです。ムツゴロウさんの表面だけをマネするみたいに、「よしよしよーし!」とやりだして、自分の方がハイテンションを演じられることをどこか誇りに思っちゃったりするんですね。

私もそうでした。こうなると、うるさくて仕方ありません。

 

動物訓練は心の「やりとり」であり、「かけひき」ですから、片方に突っ走っちゃダメなんです。動物側にとって「よしよしよーし」とやられるのが当たり前になっちゃったら、自意識過剰のハイパードッグになるか、ウザがられるか、分離不安になるか、いいことなんかありません。

 

ムツゴロウさんのあれは、絶対にテレビ用の演出だと思っています。その自己演出力も含めて、私の神様なのですから。ただしもちろん、まだ心のリミッターを解除できていない現代っ子に対するデモンストレーションでもあります。

 

実際のムツゴロウさんは、もっともっと、静かに動物に接していると思うのです。自分が騒がしかったら、動物のささやきは聞こえてこないからです。それを見た周りの人は、「あんなのテレビの中だけだよ」というかもしれません。でも、だいたいそもそも…

あ、やばいですね。ムツゴロウ論はこの辺で。

 

つまり、リミッターを解除できたと思ったら、際限なく出力をあげられる代わりに、自分でちゃんとアクセルとブレーキでコントロールしないといけないんです。

そして、ここぞ!というところで、思う存分褒めてやってください。

 

例えばムツゴロウさんなら、テレビのゴールデンとかで、ですね。

いや、本当に尊敬してるんですよ。