Mr.トーマのアニマリュージョン!ブログ

アニマリュージョン!は熊本県阿蘇のカドリー・ドミニオンで行われているファンタジックアニマルショーです。このブログではショーだけに関わらず、広く地域情報や動物訓練に関しての話題を提供しております。

行動分析学 クリッカーのたとえ話の缶ビール

前回の続きです。

ビールが報酬だすると、缶ビールを開けた時の「カシュッ!」という音も、大抵の人は好きになります。

これを元に以下、創作エッセイを書きます。

 

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「こんにちは。ペンネーム『仕事中毒』と言います。結婚していますが、家事や家のことはほとんど一切したことがありませんでした。妻も完全にあきらめ顔でした。そんなある休日、家でゴロゴロしていると、妻が庭の草むしりをしています。汗だくになって、働く姿を横目で見ていたら、なんだか急に申し訳ない気持ちになりました。手伝おうか、なんて言うのも恥ずかしく、そっと外に出て、妻に見えないところから草むしりを始めました。

すると、しばらくして背後から急に『カシュ!』という聞きなれた音が聞こえてきました。妻が、缶ビールを開けたんです。いつもは、お酒を飲むといやな顔をする妻が、自分から蓋を開けて差し出してくれたんです!

言葉はいりませんね。無言で受け取って、飲み干しました。

この日以来、私は少しづつ、自分から家事を手伝うようになりました。

なぜかって?頑張ると、妻が『カシュ!』の音をさせてくれるからです。妻が開けるビールは格別なんです。

ただ…最近はだんだん『カシュ!』の音が鳴る為のハードルが上がって来た気がします。」

 

…奥さん、名トレーナーですね。

  

こんな感じです。「カシュ!」の音は、命令の合図の音ではなくて、褒める合図の音なんですね。これが、クリッカートレーニングの理屈です。

イルカだと、ホイッスル。イルカのお姉さんが持っている笛は、褒めるための笛なんです。

上の奥さんの場合、人間だったら普通に話せますが、相手が動物だと、言葉が通じません。そればかりか、缶ビールのフタは、動物には開けられないんです。

そこで、人間に開けさせようとして威嚇したり攻撃したら、人間はビール持って逃げちゃいます。だから、感情的になるのはいけないと学習する、又はさせるんですね。

そうすると動物はいつの間にか、「どうやって人間に缶ビールのフタを開けさせるかゲーム」のテンションになります。ゲームの答えが分かることも、報酬の一つとなります。知的好奇心を満足させられますから。

 

「第一の法則」のポジティブトレーニングとか、陽性強化、正の強化とかいうのはこれです。「褒める」しかなくて、叱られるリスクがありません。

主にこれは、「芸の教えはじめ」でよく使われるテクニックです。トレーナーさんによっては、「第一法則しか使わない」という人もいます。

しかし私は、それは無理だと思うのです。なぜか。次回は、オペラントから少し外れますが、「オオカミの子供への教育の仕方」を書きます。