夢がかなった室内ステージと夢に終わったクラウンステージ
私たちがショーをする専用劇場「カドリーホール」はもともと、ギリギリ昭和の時代に作られたステージです。できた当時は屋外ステージですから、「野外ステージ」という名称でした。クマのショー専用劇場の前提で設計されたのですが、もちろん、屋根がないから雨天は中止となります。
平成7年くらいでしたか、念願の大きな屋根が付きました。しかし問題がありました。大きな2つの問題は、屋根が高すぎる為に照明が下まで届かず、全体が暗く見えることと、風が強いことです。
屋根がない時より、風が強くなったんです。ドラえもんに出てくるガリバートンネルは、みなさんイメージできますよね。大きい入り口側から風が入ると、小さい入り口から出る時には強風になるはずですよね。そんな感じで、屋根の形が特殊なので、上空の風を集めるらしかったんです。
強風の、冬の阿蘇の屋外ショーは本当に苛酷でした。観客席の椅子が昼間凍るのですから。
今年も阿蘇は、冬に向かってどんどん気温が下がっていきます。
でも私は、社会人経験をほとんどずっと過ごしてきたこの大好きなステージ「カドリーホール」で、20年来の夢がかなって室内でショーが出来ることが本当に夢のように感じています。
その大好きなステージ。実は、屋内化にむけて、設計士さんの提案で、「クラウンステージ」という名前になる可能性があったのです。
設計士さん曰く「この形状に壁がついたら、見ようによっては王冠に見えるでしょ。王冠はクラウン。中で楽しそうにショーをする人たちは、ピエロの意味のクラウン。どうです、クラウンステージ、いい名前だと思いませんか?」と。
もちろん、私は「すごい!何のお導きだ!」と思いましたが、結論から言うと却下されました。
この設計士さんのアイデアには、もっと外側に装飾を施して王冠っぽくするという提案があったのですが、カドリーとしては内装設備に力を入れたかったからです。
なんだか、カドリーホールに「まだまだ、クラウンとは言えないね」と言われた気がしました。
入り口側正面から見ると、王冠と言えなくもない感じです。
傾斜地に建っているので、裏から見るとちょっと違った印象です。