バランスと力みとコリ
私は常々、力はバランスである程度代用できると思っています。ちなみに、スピードもタイミングで代用できると思っています。
バランス感覚は、どんどん磨ける力です。
そして犬にチンチンを教える時は、できるだけ力んで欲しくないんです。
ちんちんを教えるにはいろんな方法があるでしょうが、私は初期段階ではシンプルにいきます。おやつを頻繁に手から食べさせながら、だんだんその手の位置を高くしていくという方法をとります。
おすわりの形から少しづつおやつの位置を上に変えていくと、ある所で犬の前足が地面から離れます。この時は大抵、犬は真上を見ています。
すると、前足が浮いているというチンチンの定義はみたしているものの、まだしっかりと骨盤の上に重心がかかっていないという不安定な状態になります。
マウスでお絵かきしましょうか。
グレーの丸は、おおざっぱな重心を表しています。
これは犬が力んでなんとか前足を浮かしている感じ。
ひたすらおやつをあげながら、もっと後体重になるように誘導します。
すると・・・
かなり体は立ち上がりました。でも、もう少し後ろに体重を乗せるポイントがあるんです。犬は後ろに倒れたくないので、背中が弓なりに反ってしまい、そのせいで力みが抜けません。
このバランスのまま芸がか固まってしまうと、ちんちんはその犬にとってはかなりキツイ体制というイメージになり、えさで釣りでもしないとやらなくなってしまいます。
そこで、少しずつ頭を前に向けさせるように誘導します。
このバランスの移行は、結構時間がかかります。
3日くらいかけて、やっと前を向けるようになります。
これで、背骨と骨盤あたりに重心がきます。この重心のポイントをつかめさせることに成功すれば、あとは毎日繰り返して強化していきます。
バランスを強化するために、3枚目の絵と2枚目の絵を交互に繰り返すように、ちんちんのままで頭を上げたり下げたりと誘導したりもします。中心軸に揺らぎ幅を作らせる感じです。
それとともに、コリを作るイメージも持ちます。
コリを作るって、意味がわからないと思います。これは、身体意識について独自の理論をもつ高岡英夫の本から学んだ概念です。
生まれたての赤ちゃんは首がすわっていなくて体はぐにゃぐにゃです。
「首がすわる」とは、首周りの筋肉にコリができるということだそうです。這い這いができるようになる頃には両肩甲骨の間あたりにコリができ、おすわりができるということは、腰にコリができるということだと。
コリが全くなければ、人間は立ち姿勢がとれないという理屈です。
腰の曲がったご老人は、曲がった体制の方がきついのに、その形でコリができているからあの体制を維持できます。
ただ、問題は、コリは放っておくと広がっていくものだということ。なければいけないけど、ありすぎても困るんです。
別にコリと言わなくても、ちんちんの体勢維持の為の筋肉をつけるということでもいいですが、どちらにしても時間がかかります。
結局は継続が大事という当たり前の話になるんですが、身体意識の概念が理解できると言葉ではない世界が少し開けてきます。
こうやって無理やり言葉で解説すると長いんですが、訓練中はまさに「考えるな。感じろ。(By ブルース リー)」です。