ペンギン訓練の話がだれないよう要約したいけど、レジュメを見てもチンプンカンプンでしょうね(笑)。
ペンギン訓練理論の話ですが、文章にするとあまりに説明する項目が多くて、今がどの段階で何をやっているのかよくわからなくなります。でも実はこれ、実際のトレーニング中も同じなんですね。
これは英語の勉強みたいなものです。
「単語のスペルや文法のあらゆる法則、覚えることがいっぱいだけど、イギリスの子供はそんなの知らないじゃん。本当に英語を覚える為には全部知らなきゃいけいの?」と。確かに子供のように体で覚えるのが一番でしょう。しかしいい大人になっていきなりしゃべろうとして誤解を与えたり、意味が通じずに変な空気が流れたりするのは困ります。動物の場合、そこで信頼が崩れたら後が大変です。
そして大人には大人の学習(勉強)能力という武器があるのですから、使わない手はありません。
オペラント式の訓練法では、もうかなり共通概念と専門用語があって知識からの習得が可能です。しかし私が行っているのは、いかに身体的誘導で行動形成をするかということですから、いわば条件付けの一つ手前の話です。
例えば、犬に「吠えろ」を教えるにはどうするか。
①吠えさせる状況を作る。
②吠えた時にご褒美を与える。
③勝手に吠えたら無視をする(又は罰を与える。但し罰=体罰とは限らない)。
④合図で吠えるようにする。
・・・とかでしょう。私が書いていることは、ほとんど8割が①の話にあたります。
おおざっぱに言うと、①が行動形成で、②以下は強化です。
どの動物園・水族館でも大抵①は誰かが一人で行うし、ケースバイケースでセンスに大きく左右されるものだから人に伝えるのが難しいのです。
さらに、それに対する共通概念があるのかどうかから考えねばなりませんし、共通のトレーニング用語もないでしょう。
で、遅ればせながら私の頭にある工程表を、レジュメ風に書きだしてみます。
今これを書いても、「なんじゃそれ」という語句が多いなと思いつつ。
①ペンギンと正しい位置関係をつくる行動形成
理想の位置関係は、腕一本分離れて向い合う場所にペンギンがいること。
その為に、手を残して体を下げる技術の取得
②マテの行動形成
距離や時間はまず置いて、とりあえず下がればオイデ、止まるか近づけばマテだという方向性(ベクトル)を作る
③マテからのオイデの行動形成
マテは休憩とは違うということの理解(2本足の動物のバランスと居着きの理解)。
「位置について」「用意」「ドン」の拍子(リズムと間)が大切。
④オイデでペンギンをゾーンに集める行動形成
身体意識の知識と活用。「レーダー」の概念。
動きの基点は常に「オイデ」
ペンギンキャスター理論の理解
⑤スライド横移動でパイロンをクリアさせる。行動形成
キャスターは大きく回る方が負担が少ない。だからパイロンはUターンでなくカーブという意識で教え始める。
身体意識「レーダー」の活用
⑥イケとパイロンクリアと、オイデを組み合わせて、行って帰って来いのルーティンを作る行動形成。
「イケ」とは、結局「行って帰って来い」という意味であることの理解
ここまで出来てようやく、「オイデ」「マテ」「イケ」を分割(または統合)することができたことになります。
そしてその過程で体の使い方のコツがわかってくるでしょうから、それらを強化する為にさらに新しいコツを加えます。
以下⑦~⑪は一応番号になっていますが、コツの羅列で順番はあまり関係ありません。
⑦徐々に距離を離し、身体意識「レーザー」を加えてイケの合図を作る。
ペンギンの真後ろに回ることで、身体意識が発動する
⑧イケの合図の正しい出し方
合図の出し方は奈良のシカせんべいと同じ
「安心して下さい、持っていません。」合図の手の軽い握り。
⑨半身はイケ、半身はオイデ。
合気道と同じく、相手の技にかかる方がストレスが少ないという考え方。
⑩膝や手のひらでの誘導は半分物理攻撃。身体意識の基本はあくまで体幹。
⑪身体意識とかは、あくまで訓練補助ツール。
犬のリードと一緒。体得したら忘れる(なくす)べきもの。
・・・特に⑧なんかは、あきらかに最近考えた表現だろうというのが入っていますね。
しかしまあ、まだ説明すべきことが多いなと、書き始めたことに対して少し後悔し始めています(笑)。