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Mr.トーマのアニマリュージョン!ブログ

アニマリュージョン!は熊本県阿蘇のカドリー・ドミニオンで行われているファンタジックアニマルショーです。このブログではショーだけに関わらず、広く地域情報や動物訓練に関しての話題を提供しております。

ペンギンの思い出その10 身体意識と半身の動き

前回からの引き続き、身体意識の応用のレーダーというゾーン。なんとなく意味がわかるでしょうか。

そんなに難しい話ではなくて、例えば犬のアジリティ競技をする人にとっては、犬を左足の横につける、つまり脚側訓練が大切です。

犬は常に飼い主の左側にいるから、自分は常にコース又はクリアさせたい障害物のギリギリ右側を通過します。自分の左側に犬が入るゾーンがあると意識し、そのゾーンの中にいれば犬も安心、言いかえればそこは動くクレート(犬が安心できる、移動式のケージ)のようなものです。犬にとっては、そのゾーンに障害物の方がやってくるということになります。

ロマンチックに言えば、どんな障害がやってこようが飼い主とは離れない見えない絆があるという感じ(笑)。

 

そういうゾーンがペンギンの場合、自分のおへその前左右45度にあると言うイメージです。

自分のヘソから左右に45度ですから、前方90度の範囲内のコントロールが及ぶゾーン。基本的には、そのゾーンの内側にいるペンギンにしかご褒美をあげないようにします。

だから人間がそのゾーンをしっかり意識していると、ペンギン達はその中に入ってこようとします。また、以前説明した動きの基点作り、つまり足もとに散らばっているペンギン達に対して、まず一歩後に下がってこちらを向かせてついて来させるのは群れを全てレーダーのゾーンに入れるのに役立ちます。

 

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写真は使い回しですが…

 

 

このゾーンの中でもより中心、つまりトレーナーの真正面が一番有利な場所だと、ペンギンはすぐに気が付きます。一番餌がもらいやすい位置ですし、ゾーンからはみ出しづらいからです。例えば右45度ギリギリにいた時、トレーナーが少し左を向いただけでゾーンからはみ出ちゃいますから。

 

常にこのゾーンを意識させてそのように動けば、先ほどのアジリティの例の応用で、平均台渡りの芸にも上手く活用できます。

ペンギンがこのゾーンに入っていて、かつ平均台の上なら、自分にまっすぐついて来させる「オイデ」だけではなく、横にスライドしながらついて来させるオイデができます。

応用すれば、自分は平均台の中心あたりにいて体の方向を変えるだけで、「止まれ」「反対にすすめ」ができるようになります。(もちろん、言うほど簡単ではないですが。)スライドと方向転換の動きが加わることで、ペンギンを動かすのに幅ができてきます。

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写真は使い回しですが…

この時、トレーナーは少しバックするようにスライドしています。

私の理屈で言うと先頭はレーダーからはみ出しそうですが、ここでは階段を登らせるのと、降りる前に上手く先にゴールで待ち構えることができればいいので。それより後述する半身の動きになっていることがポイントです。

 

 

ここでまた、キャスター理論。横にスライドする方向性がついてしまえば、その先にお魚を投げてあげることで群れのまま、さらに移動させてやることができるのです。

 

レーザーの範囲を自分を中心に横方向にスライドさせるには、ゼロ歩の方向転換、つまり「まわれ右」の途中でぐるっと方向を変えているような動きが有効です。まわれ右では、まず一歩だけ右足を後ろに引きますが、実際に方向を変えている時はゼロ歩ですよね。そういう体の使い方が今回のお題の半身の動きのことです。

 

このまわれ右の動きってもちろん、まわれ左でもできますよね。

それどころか、どちらかの足でも前後に開いたタイミングなら、歩いている最中でもいつでもゼロ歩で方向転換できないとおかしいのですが、なぜか上手くいきません。

なぜでしょう?それは、普通は腕を振って歩くからです。やってみると分かりますが、腕を振って「正しく」歩くと、ゼロ歩の方向転換の妨げになるのです。

だからここで古武術の話も加わります。手を振らないで歩くような動きの質が必要となります。

江戸時代のナンバ歩きは、手と足の同じ方を出して歩くというより、腕を振らないで歩くという方があっていると思います。どうも普通の人は、この癖のせいで動物の動きに対してタイミングが一歩ないし二歩遅れるようです。

 

私は普通の人じゃないのかというと、そんなことはないのですが。クマのトレーナー時代にクマに背中を見せず、徹底的に後ろ歩きでついて来させる練習をしていたあたりから腕を振らない方が動きやすいことに無意識に気がついていたようです。

 

細かいことを言い出すとキリがないのですが、上のペンギンの平均台の芸は、

①レーダーというトレーナーとの位置関係を利用して階段を登らせ、

平均台の最中はキャスターのように勝手に進むのであえて半身で身体意識を切り、

③先にゴールで待ち構えて再びレーダーの範囲にペンギンを入れる

ということになります。

 

すこし話はそれちゃいましたが、半身というイメージと使い方についてはまた改めて説明します。

やっと、イケの合図にたどり着きそうです。