動物の「迷信行動」は間欠強化とも関係があるからやっかいなもの
前回は「間欠強化」という用語の話題でした。この用語と今回の「迷信行動」は大いに関係があります。
迷信行動
- 別名「ジンクス行動。」
- 本来は行動の結果と関係性がないことでも、あると思い込んで行動(または意思決定)すること。
解説
ジンクス行動について言えば過去記事で書いたことがいい線いってると思うのですが、このカテゴリーは基本的に書きおろしにしたいので、コピペではなく内容を一部重複して書きます。
迷信行動の一番分かりやすい例が、郵便屋さんと犬の関係です。郵便屋さんが来ると、庭に繋がれている飼い犬が吠えます。郵便屋さんは、犬が吠えようがお構いなしに郵便物をポストに入れて立ち去ります。しかし犬にとってみたら、自分が吠えたおかげで間一髪、敵の侵入を防いだことになっちゃいます。
ジンクスといえば、占いもジンクスの一種でしょう。しかしここで言うジンクスは他人に言われたことではなく、自分で関連性に焦点をあててしまった勘違いだから、やっかいなのです。
そういう人間のジンクスと同じようなことが動物にもあるということです。
猫が熱いストーブの上に乗って嫌な思いをしたら、もう冷たいストーブの上にも絶対に乗らなくなるとか、例をあげればキリがありません。
人間の例を挙げると、赤いパンツを履いたら試合に勝ったから、次からは必ず赤いパンツをはいて試合に臨むとします。それで数回勝ち続けたとします。
で、ある時、赤いパンツを履いたにも関わらず、試合に負けたらどうなると思いますか?
普通に考えたら、そのジンクスはやっぱりただの迷信だったということになるはずですが、これが不思議なことに、ますます赤いパンツにのめり込んじゃうことがあるのですね。
なぜなら、たまに負けるということが「変動強化」にあたるからです。「いや、同じ赤でもこっちのはスペアだったっけ」、とか、「洗濯したら少し赤みが落ちたのかな」とか。
だから迷信行動をやめさせるのは、結構大変です。
場合によっては、その行為が目的に切り替わることすらあります。人間でいえば巷でよく言われる「洗脳」です。幸せになりたいが為に何か信仰宗教などにすがりつき、いつの間にかその神様を信じることが目的に変わってしまうなど。
こうなるともう、どうしようもないです。というのは、行動分析学は突き詰めて言えば、「快」を求め、「不快」から逃れる為に人や動物はどんな行動を取るかという学問ですから。
その宗教を信じること自体が「快」であるなら、ある意味では本人の望みどおりだということになります。
そして、その状態をなんとかしてあげようと周りが働きかけることこそ「訓練」に通じますが、その時に「消失バースト」が起こります。これについてはまた次回。
まとめ
- 迷信行動は、信じている限りは当事者にとっては真実であり現実。
- 迷信行動そのものが目的にすり替わってしまうことがある。
- 迷信行動は、外れることがあっても必ずしも消失するとは限らず、むしろ増大することがある。
- 自分が迷信行動にハマってしまわないためにも、迷信行動という用語を知っていた方がいい。