面倒な言い回しの「負の罰」から考える「罰」とついでに「天罰方式」
正の強化と負の強化はすでに記事にしましたが、「正の罰」と「負の罰」は面倒すぎて理解する必要があるのだろうかと考えてはいます。
しかし、これを書くことが「罰」の理解につながるかなと考えて書いておくことにします。これも完全に正しい理解かどうかは、自信がありませんが、まず我流定義です。
正の罰
- 不快な刺激を受けると、その原因となった行動を減らす。その不快な刺激のこと。嫌悪刺激。
負の罰
- 本来の権利として与えられるものが、悪い行動をしたことによってもらえなくなっちゃうこと。
罰(弱化子)
- それが与えられることによって原因の行動が嫌になるもの、又は現象。
解説
私が思いつく負の罰の例は、「のび太くんがお昼寝をしすぎて、夜に眠れなくなった。」です。
「あったかいフトンでぐっすり寝る」はのび太くんの名言ですが、これは何かをしたご褒美に与えられるものではありませんよね。
「悪い行動」はもちろん、お昼寝です。
多分、行動分析学の試験があったとして、「負の罰の例を挙げよ」という問題があったら、この例で△くらいはもらえると思います。マルじゃないのかという説明はあとにします。
まず、なぜ私がこの例にしたかというと、罰とは他人が与えるものとは限らないからです。本人が不快に感じることが罰*1です。
しかし、夜に眠れなくなったことはのび太くんにとって不快なのは間違いありませんが、それでのび太くんはお昼寝をやめるでしょうか。あの、のび太くんですよ。お昼寝の行動に全く変化がみられないならば、それは罰ではないことになります。
だから、この例を完成させるならば「のび太くんがお昼寝をしすぎて、夜に眠れなくなったから、お昼寝をやめた。しかし、3日坊主だった。」となります。
あくまで結果があって、そこから逆算するように罰や負の罰が決まるのですね。
3日坊主をつけ加えたのは、あの伝説のマンガの設定を重視したことの他に、完全にその行動がなくならなくても、少しでも弱まれば(弱化)罰となるからです。
「苦い物をかじったら嫌な思いをした」だと、苦いものは罰です。
だから、犬にかじられては困る家具にビターアップルなどの苦いスプレーをかけたりするのです。
また、犬が机の脚をかじったら、その犬を叱るのではなく、自分がやったと犬にばれないように机をガタガタとゆすってびっくりさせるのが「天罰方式」です。
さらに、社会性が強い犬という生き物に対して「無視」するのも立派な「罰」です。
ダジャレは無視されるのが一番つらいですよね。オヤジのみなさま。
まとめ
- このように、受け止める側の結果で考えるのが行動分析学の理解では重要なこと。
- だから、「罰を与えた」つもりでも、行動に変化が見られなければそれは罰じゃない。最近は行動分析学の発達から、「褒めるタイミング」が大事だと言われるが、叱るタイミングももちろん大事。
*1:だから最近では罰という言葉を使わず、弱化子と表現しようよという話があるようですが、科学というのは完成したものじゃなくて日々新たな説と解釈が生まれるものだから、ここではそこまで突き詰めなくてもいいでしょう。