「葛藤」は「嫌悪刺激」
これは動物訓練用語と言っていいのかよく分かりませんが、「葛藤」という言葉も大切で、「嫌悪刺激」という言葉の理解も大切で、さらに「葛藤は嫌悪刺激」という言葉の理解も大切だと思っています。
まず、私の我流解釈から。
葛藤
- 迷ってどっちつかずの状態になること。
- パニック
嫌悪刺激
- 不快な状態にさせる為の働きかけ。
- 正の罰を与えること。
解説
ちょっと強引かもしれませんが、上記2つの用語解説というより、「葛藤を与えることは罰を与えるに等しい」ということが今回の主題です。
だいたいが動物というのは一瞬一瞬で方向性を決めて行動するものです。
「迷う」のではなく、常に「選択肢の中から一つを決定し続けている」ということです。人間のように言葉で考えない分、判断がとんでもなく早いのだと思っています。
言葉で考えないというのは、将来のことまで考えていないとも言えます。
ビックリしたネズミが急に立ち止まって固まってしまうのも、固まるという判断をしたということです。
極端に言うと、迷うというシュチュエーションは自然界ではほとんどなくて、人間という未来を想像できる生き物が動物に働きかけないかぎりありえないのではないかと考えます。極端に言うと、ですよ。
例をあげます。犬にモニターでマル(真円)の画像を見せてから餌を与えるという条件づけをします。
次に、すごく細長い楕円を同じモニターで見せますが、ここでは無報酬、つまり餌は与えられません。そして、その楕円をモニターに映し出す機会のたびに、だんだん餌がもらえる形のまん丸に近づけていきます。
もともとは、犬がまん丸と楕円をどこまで区別できるかの実験だったのでしょうが。
この実験を受けた犬が、丸と楕円が区別がつかないくらい微妙になってきたら、葛藤のあまりパニックになったというのです。
ちなみに、本で読んだことのあるこのエピソードが私には強烈な印象で残っているのですが、残念ながら、元の本を紛失してしまいました。だからもしかして、これは私の思い違いかも知れません。または、ただモニターを見せるのではなく、それこそ弁別刺激で何か犬がボタンを押すとかの動作があったかもしれません。
多分、その本は、「プロブレムドッグ」という題名だったと思うのですが・・・。
しかし、このエピソードが記憶違いであったとしても、やっぱり葛藤は嫌悪刺激です。
もう少し細かく考えると、
葛藤<混乱<パニック
の順番というか強度なのでしょうが、葛藤も混乱もパニック*1
も同じ質のものだから味わわせないに越したことはないと考えています。
まとめ
私に言わせれば、葛藤はそのままパニックと同義語と思った方がいいくらい。そして葛藤は嫌悪刺激。だから、動物訓練で絶対にやってはいけないことは、動物を迷わせること。しかし結構、やさしくするつもりが結果的に迷わせてしまうことも多いから、迷わせるくらいなら叱った方がいいとすら思う。
ただしもちろん、叱る基準がはっきりしないことは最大の葛藤の原因となるので念のため。