コンゴウインコのチビちゃんのフライングフォーム改造計画 その1
実に久しぶりの更新です。
とっくにショーが一日二回となる冬時間に入ったというのにブログ更新もしないで何をやっていたかというと、もちろん楽しい楽しい動物たちのトレーニングです。
今回はその中の一つ、コンゴウインコのチビちゃんのお話です。
アニマリュージョン!ショーの演目の中には、コンゴウインコのフライングがあります。ステージから観客席の上にあるリングに向かって飛んでいき、そのリング3つを空中でくぐってまたトレーナーのもとに戻ってくるというシーンです。
観客席で日光浴をするチビちゃんと、左上にあるのがリングの一つ。
開始当初、ショーの出演メンバーは5人いて、このシーンはパフォーマー2名とコンゴウインコ2羽で行っていました。
しかし、現在はショーの出演メンバーを3名で固定したので、フライングをするインコは一羽のみになりました。「チビちゃん」は、ショーの出演メンバーから外れた方のインコです。
私はこのシーンには出演しませんから、ほとんどこの2年間、コンゴウインコの訓練はノータッチでした。
チビちゃんには少し問題がありました。もともと飛ぶのがあまり得意ではなかったのです。普通、鳥は飛べて当然と思いますよね。このあたりは話が脱線するのでまたいつか改めて書きますが、飛ぶのが苦手な分、最初の飛び出しをトレーナーが手伝ってあげる必要があるのです。
しかし、これが鳥と息が合わないとなかなか上手くいきません。
ダチョウ倶楽部ではないですが、まだ心の準備ができていないうちに押されて飛ばされるような感じになってしまうと、だんだんそれを警戒して、後ろにのけぞるようにブレーキをかけてしまいます。
すると、トレーナー側はもっと強く押し出す必要がでてきます。
それを繰り返すうち、かなり強く腕を振らなければ飛び上がれなくなっていき、極端に言うと放り投げてあげないと飛ばないということになります。
しかしそれだと、冷静にリングをねらってくぐり抜けるどころではなくなります。
バランスが崩れる上に飛ばされたスピードがつくので、微調整が必要なリングくぐりを怖がって、リングの外を大回りする癖がついてきました。
それでも、その癖を知った上でそれなりに息の合った担当者が毎回ショーで飛ばしている時には成功率は高かったのですが、ショーで出番がなくなった上に実質担当トレーナーがいなくなったチビちゃんは、程なくこのリング3つくぐりのトリックができなくなってしまいました。
そこで、どうせ今すぐショーに出る必要がないのなら、じっくりと腰を据えて基本の基本からトレーニングしなおそうと思い立ったのです。
一石二鳥じゃないですが、当面ショーに出る必要がない鳥を訓練する理由の一つに、エンリッチメントがあります。チビちゃんは、自分で自分の羽を抜いてしまう「毛引き」の癖があるのです。動物園では、動物のストレス軽減の為に本来の野生での行動や環境に近い展示方法をする(環境エンリッチメントといいます)という流れになっていますが、やはり鳥が飛ぶというのはストレス解消などに役立つはずです。それで毛引きが完治はしなくても軽減されるのなら、それだけでも取り組む価値はあります。
さてさて、2年以上ぶりのこのチビちゃんとのからみがどうなることやら。他の動物たちとの話題も含め、定期的にアップしようと思いますので、また半年のお付き合い(?)をよろしくお願いいたします。