Mr.トーマのアニマリュージョン!ブログ

アニマリュージョン!は熊本県阿蘇のカドリー・ドミニオンで行われているファンタジックアニマルショーです。このブログではショーだけに関わらず、広く地域情報や動物訓練に関しての話題を提供しております。

犬笛を使った訓練スタート。まずは目標設定と条件付け

こんにちは、Mr.トーマです。

前回からの続きで、犬笛の話題です。

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 訓練、まだ?

 

いきなりですが、問題です。

以下の2つのうち、イヌに教えるなら難しいのはどっちでしょう?

①犬を呼んで近くに来させることと

②どこか目的地に行かせること、

…普通に考えたら、①の呼び寄せる方が簡単ですね。

 

しかしこれが、声をかけるわけにいかないシチュエーションだったらどうでしょう?

さらに、飼い主が見えない場所なら?

そういう条件なら、②の目的地に行かせることの方が簡単です。ターゲットを提示すれば訓練が可能だからです。いや、これは専門用語的なややこしい言い方ですね。例えば犬に、小さな台に乗る音を教えます。乗ったらご褒美のおやつをあげて褒めます。

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カドリーホールのステージ上。今回はこの台をターゲットとして使用します。

 

合図で台に乗ることを理解したら、その台を少しづつ遠くしてあげれば、10mくらい離れた台に乗れるようになるのは時間の問題です。

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最初は近くから。だんだんステージ向かって左側から。ゴール地点は変えず、スタート地点を遠くしていくのが訓練のセオリーです。

 

では逆に、10m先の台に乗っている犬に対して、大声を出すことなく「オイデ」の合図を出すにはどうするか?

ここで、犬笛が使えるなと考えたわけです。

犬笛にはいろいろな使い方があるようですが、私の使用目的は、専門用語でいう「コーリング」の為だけなのです。ひらたく言えば、「呼び寄せ」ですね。

 

ちなみに前回の問題点、音が安定しなかった犬笛をどうするかですが、これはもう、多少人間に音が聞こえようが気にせず強く吹く方針に決めました。

それでも普通のホイッスルやクリッカーよりはずっとましな、気にならない合図音ですから。

 

で、まずは犬笛の条件付けですね。

これには先ほどのターゲットはまだ関係がありません。

サッカーの審判が試合中に、いきなりホイッスルを吹いてイエローカードを提示するように、ゴンちゃんの前でいきなり笛を吹いておやつを提示(というか、あげる)するわけです。

サッカーの例えを出したのは、あくまでトレーナー側が感情を出すことなく、「笛の後におやつが出てくるという事実」のみを機械的に行うのがコツだからです。

条件付けが済んでしまえば褒めたりしてもかまわないのですが、こういった訓練では感情のやりとり(声や表情で褒めたり叱ったり、なだめたり)が先にあるとよくありません。なぜなら、動物側に「なんとかして笛を鳴らしてもらえるようにねだる」という悪知恵を働かされたら、のちのち面倒なことになるからです。

 

とりあえずこの初期条件付けを3日ほどやりました。笛が鳴ったら寄ってきて、嬉しそうにこちらを見つめるようになりました。

…で、長文になってきたので次回に続きます。

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内容も写真も地味だったので、ゴンちゃんのサービスショットです。