豆柴?
私は以前、本物の「豆柴」を生で見れるなんて、宝くじの1等に当たるくらいのものだと思っていました。体高で32センチ前後の柴犬なんてそうそう生まれるものではないでしょう。ティーカッププードルとか小豆柴(あずきしば)まで行くと、私にとっては都市伝説なみのあやしさです。
実際に「豆柴です」と言われてみたものの、「小柄な柴犬から生まれた柴犬でしょう。騙されてませんか?」と言いたくなる豆柴は、何度か見たことがあるのでなおさらです。
そんな矢先、と言ってもすでに2年以上前の話ですが、家の近所に「豆柴牧場」という看板が立ちました。
そういえば通勤途中、よく柴犬の子供を散歩させている元気なおじいさんを見かけます。いつも子犬を連れているくらいだから、あの人がきっとブリーダーさんだろうと思いながら、豆柴牧場を訪ねてみました。すると…
私の勘は、半分当たっていて、半分は外れていました。散歩をしていた方がブリーダーさんには間違いなかったのですが、てっきり子犬だと思っていたその柴犬こそ、大人の豆柴だったのです。どう見ても、サイズ的には4~5ヶ月前後の柴犬です。その子犬サイズの成犬が、広い庭先に間隔をあけて5~6匹も繋がれているのです。規格通りの豆柴は、本当にいたんですね! しかも、こんな近所に。たくさん。
今は豆柴もJKC(ジャパンケネルクラブ)ではないものの、ちゃんと血統書があるそうです。血統書って、簡単に言えば3代さかのぼる家系図のことです。豆柴の場合、その全てに大人になった時の体高が書かれています。つまり、豆柴の基準サイズが3代続かないと豆柴認定の資格がありません。
血統書つきの子犬は、日本国内で年間500頭くらいしか生まれないそうです。さらに、その子犬が大人になった時に、オスで体高34センチを超えたら、もうその子供は豆柴じゃないんです。だから、実質はもっと少ないでしょう。やっぱり、宝くじ並みです。
数か月の順番待ちと言われて2週間ほどたった時、ブリーダーさんから連絡がありました。
「北九州にうちで生まれた豆柴がいて、その子に赤ちゃんが生まれています。うちで引き取ることになっていますが、見に来ますか?」
もちろんです。すぐに会いに行きました。オスメス1匹づつ。初めて、本物の豆柴の血統書も見ました。
登録名は、オスが「玄海雲竜号」、メスが「玄海美姫号」。さすが日本犬です。
…うーん、思い入れが強すぎて、すでに長文になってしまいましたね。
その玄海雲竜号が現在、ほんのチョイ役にも関わらず大人気の、ゴンちゃんです!
正確には勝手に苗字もつけて、シルバニア=ゴンちゃんです。
もう、なにかしらのご利益がありそうなくらい、かわいいんです。
これが世にいう、親バカというものでしょうか?
今、ゴンちゃんは、1歳10か月。もう成長は止まったと思います。で、現在の体高はと言うと…
34、5㎝! …え?ギリギリラインで豆柴じゃないってこと?
でも、スタンダードの基準にあてはまらない血統書つきの犬なんて、ゴマンといますよね。そうですよね。5ミリの差ですよ。
なので、豆柴と言い張ることにします。なぜかと言えば、血統書があるから、雑種ではないんです。じゃあ柴犬かというと、柴犬としての血統書もないので、「柴犬です」といっても間違いになるんですね。
やっとわかりました。
今まで「あんた、騙されてますよ。」と思っていた豆柴の飼い主さん、ごめんなさい!
というわけで、文句なしにかわいいゴンちゃん、ぜひ、本物もご覧ください!