動物トレーニング論 常に気をつけたい逆調教とついでに消失バースト
逆調教のことはまだ書いたことがなかったかどうか自信がありませんが、知っている人には常識な話です。
犬が吠えた時に、「うるさいから静かにしなさい」と叱るつもりで犬のところに行きます。ところが犬はそのうちに、吠えたら人が来てくれるという事実を理解し、確信犯的に吠えるようになっちゃいます。
もちろんこれは、犬だけじゃなくてあらゆる動物でおこります。
以前に書いた「迷信行動」と似ていますが、ちょっと違いますね。
こちらはあくまで、確信犯ですから。
犬って、「褒められるのが好き」だと思っていませんか?
それも間違いじゃないけど、「人の気を引くこと」が好きなんです。褒められるというのはその中の一つのバリエーションんだと思う方が、理解しやすいと思います。
だから無視されるよりは、叱られてでも気を引ける方がうれしいんです。ここを理解しないと、なおさら逆調教にはまります。
逆調教とは、人間が動物に望まれる行動をとるように誘導されているということです。
本来教えたいことと逆のことを覚えちゃうって意味ではないので、知らない方は覚えておいた方が良い概念です。
少し考えたらこういう問題はたくさんあります。鳴けば許してもらえると思って爪切りの時に大きな声で叫ぶようになるとかですね。
逆調教とセットで考えたいのが、いわゆる消失バーストです。
逆調教にしろ、迷信行動にしろ、一度そういう癖がついてしまった動物を矯正する時は、一時的にその悪い癖が悪化します。
吠えることで飼い主が来ると思い込んだ犬は、いつもの吠え方で人が来なかったら、もっともっと叫びます。
ここで根負けしたらもう駄目です。努力が大きいほど得られる結果に対しての満足は大きくなるのが行動心理ですから、それこそ次は無視しようと思っても、のどから血が出るほど吠えることになります。
繰り返しますが、これは犬だけに限ったことじゃありません。
だから世の中のお母さま方、小さなお子さんにお店で何かをねだられて、一度断ったからには絶対に覆してはなりませんよ。
すごく頑固でダダこねて諦めない子供は、その前に一度、逆調教に成功しているのですからね。
「長期戦に持ち込めばこちらの勝ち。だってこっちの方がヒマだからね。世間体もないからね。悲しそうな顔ってまた、効果があるんだよな~。」
・・・なんて理性で考えていない分、よけいに厄介です。
お願いってば!