Mr.トーマのアニマリュージョン!ブログ

アニマリュージョン!は熊本県阿蘇のカドリー・ドミニオンで行われているファンタジックアニマルショーです。このブログではショーだけに関わらず、広く地域情報や動物訓練に関しての話題を提供しております。

ペンギン訓練の思い出 その13 半身はオイデで半身はイケ(レーザーの身体意識)

レーダーという身体意識は、ペンギンと人間に共通のものです。

お互いに左右45度の中に入れば餌がもらえる、または与えることができるゾーンですから。だからペンギンは、何とかして人間の方と正対しようとします。

説明が遅れましたが、レーダーは、人間が止まるかバックしている時に発動する意識です。ペンギンと正対している時に不用意に前に進むと、ペンギン達は拡散してしまってここまで培ってきた決めごと(=信頼)が崩れちゃいます。

 

それとは逆に、食物連鎖でいう食べられる側の動物にとって、真後は死角になります。

だから真後に入られると、まっすぐに逃げます。大人と子供の鬼ごっこで、逃げる子供は振り向いた瞬間に捕まっちゃいそうだから後を見れず、ちょっとからかう程度のつもりがとんでもなく遠くまで逃げられちゃうのと一緒です。

 

そういう本能のようなものがあるので、ベタ馴れしているペンギンでも背後に回られると前に進みたくなってしまいます。

これを人間側から見ると、前に進ませるエネルギーが発生していることになり、それがレーザーという身体意識です。

 

では正対、つまり人間と向かい合いたがっているペンギンに対して、いかにしてスムーズに後ろに回り込むか。この時に大切になるのが、半身です。

もう同じ写真で説明するのにも飽きてきましたので最低限にしますが、右にあるパイロンまで歩かせるには、右半身でペンギンを引き込んでおいて、左半身で少しプレッシャーをかけます。

これでオセロがひっくり返るように、引き込むエネルギーが押し出すエネルギーに変わります(気功とかの話をしているのではないのですが、案外、気功もこういったエネルギーを利用しているかも知れませんね)。

 

これでペンギンがパイロンの方向に歩き始めたら、あとはペンギンがパイロンを回り始めるまで、ひたすら気配を消す。つまり、真後の位置を保つということです。

 

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もう強化はすんでいますからそこまで意識はしていないでしょうが、このようにポールを回り始めた所でトレーナーは左にスライド移動し、ペンギンに姿を見せたあとでレーダーを発動させます。

それはつまり、ペンギンに姿を見られたら絶対にペンギンには近づかず、少し下がりながら徐々に体を左に向けていくということです。

 

反対にポールを回ったあたりで止めておきたかったら、正対したままでレーザーを意識しながらペンギンの方にゆっくり近づきます。

もちろん、止める方が難しいですから、場合によってはそこで素早く餌を投げます。

この餌の投げ方も、レーザーの身体意識の応用なのですが、また次回。