動物訓練での変動強化(間欠強化) ー時にはいい加減さも大切ー
動物トレーニングにおける「強化」とは、すでに行動形成ができていることをもっと確実に、できるようにしていくことです。
では、間欠強化とはどんな意味でしょう。いつものことながら、私の捉えている定義と解説です。
間欠強化
ある行動に対してかならず報酬(ごほうび)があるよりも、あったりなかったりする方がかえってその行動が強化されること。別名、ギャンブル効果。
解説
動物のトレーナーは大抵、まじめな人間が多いのでいい行動に対しては必ずご褒美をあげないと動物との信頼関係にひびが入ると考えがちです。
それゆえ一昔前は、犬の訓練でおやつをあげるのは邪道だという人がたくさんいました。また、そういう意見を唱える人たちは、ご褒美がなくなったらやがて芸もしなくなる、とも考えていました。
しかし、行動分析学の発達によって、毎回同じ行動に対して同じ報酬を貰っていると、そこに刺激がなくなってだんだんモチベーションが下がっていくということが分かってきました。特に、人間ではなんとなく経験則で分かっていたことが、動物も同じだと実証されたのは行動分析学の一つの功績でしょう。
人間で言えば、会社員の「ボーナス」は典型的な間欠強化です。上下動の大きい業種の方が、モチベーションがあがる傾向にあるからです。時には業績が上がらずゼロ査定、つまりその年は全くなかったとしても、次にはあると期待できている間はかえってモチベーションが上がったりします。
だから動物を訓練する場合、あえて報酬を一定にせずにたまに抜くというテクニックが重要になるわけですが、これはかなり高度な話です。
また、変動強化は報酬を減らすことだけでなく、それこそパチンコのフィーバーのようにある時突然同じ行動に対して報酬が増やされるということも大切です。
芸の教えはじめに簡単な行動に対して惜しみなく報酬を頻繁に与えるというテクニックも、一種の変動強化です。
人間なら、ゴルフやその他の趣味においても、ビギナーズラックがある方がその後のハマり方がおおいに変わるのも、変動強化のなせる技です。
そう考えるとビギナーズラックとは、神様によって人間が変動強化を受けているような気がしてきますから皮肉なものです。
まとめ
- 動物の訓練とは、動物側にとっては興味深い遊びの一環である方が長続きするので、ギャンブル性を取り入れた方が絶対面白いはず。
- ただし、ギャンブルははまると抜け出せないので、トレーナー側は間欠強化の考えすぎに注意。
・・・いや、ふざけてないですよ。