コンゴウインコのチビちゃんのフライングフォーム改造計画 その5
コンゴウインコのチビちゃんのフライング訓練の話題です。少し間隔が開きすぎてしまいましたね。
前回までは、むしろ最終目標のリングくぐりを忘れさせて、トレーニングは楽しいものだよと再認識させるようなレッスンを行ってきました。
「タップ」と「マエ」の2つのサイン(合図)があることも、チビちゃんは理解してきたようです。また細かいことを言えば、サインという英語は「予兆」とか「兆候」とかいう意味もあります。命令というよりは、その言葉を言われたら私の腕が法則通りに動くから、それに合わせて鳥が飛び立つということです。
さて、ここからは満を持して、リングを使った練習の始まりです。
これは以前の写真の使いまわし。
もちろん、いつもの地面から手が届かないくらい高い位置のリングはまだ無理でしょう。ここで一か八かは、極力試したくありません。試して失敗すると、今までの良いイメージが一気に崩れ去ります。持論ですが、動物訓練では常に「汝、試すなかれ。」という言葉を意識しておかねばなりません。
写真の観客席中央のリングだけは構造上、地面ギリギリまで下げることができるので、これを使います。
コンゴウインコの羽のサイズに合わせて設計されていますから、近くで見ると大きいでしょう。
さて、リングを使った練習の取り掛かりは、「タップ」の合図を使います。
間にリングがある状態での、一番初期の手から手へ渡る練習です。
これも鳥の練習中の写真はありませんが、リングをくぐるというよりリングに停まってしまわないよう、リングの中に手を置いて待つという感じです。
これも今までと同じく、たったこれだけのことを最初は嫌がるのですが一度できてしまうと割とスムーズにいきます。
しかし、リング自体の直径が大きいので、あまり腕の間隔を広げることができません。ゴール側の手はほとんど前に伸ばした状態ですから、フライングの間隔は1mもとれません。
問題点は、ゴールするべき手がはっきり安全な位置に見えていないと飛ぼうとはしないいということです。
この練習でだんだん間隔を広げていく為には、手ではなく、リング自体がターゲット(目標通過ポイント)にならないといけません。
そこで一応、この練習をする時には「タップ」のコマンドを「リング」に変えます。まだ鳥側は理解していないでしょうが、私の気持ちとしては「リングをくぐったらご褒美があるからね」ということを教えたいからです。
しかし、ここからの成長が見事にピタリと止まってしまいました。
だんだん手の間の幅を広げたり、リングを少し高く設定したりしようとするものの、ゴール側の手が見えなくなると全く飛ぼうとしないのです。
加えて、ここまで順調すぎるくらい順調だったので、つい給餌量を増やしてしまって、ご褒美に対するモチベーションも下がっているようでした。
犬等の肉食動物なら一日くらい餌を抜いてもどうということはありませんが、インコを絶食させるのにも抵抗があります。最低でも4~5日はかけて体重のコントロールをしないといけません。
その間、ついでにチビちゃんが大好きな基本技の「タップ」の応用を試みました。
応用とは、手から手へ飛び移る「タップ」を、ゴール側の手を少し遅らせて出すというアイデアです。右手スタートなら最初は左手は下げておき、タップの合図の直後にいつもの位置に提示します。
これも、一定の法則があるかのように同じ動きを繰り返します。
最初は飛ばないのですが、タップの合図から左手が出てくるまでのタイミングは、ほんの0,5秒もないくらいのタイムラグですから、何回かやっているとチビちゃんが「ああ、しまった、今行っとけばよかった。」と残念がっているような気がしてきます。
そして、ある時、できるようになります。
これは、言ってみれば私の手が出てくることを信頼して飛んでくれているわけです。
しかし、まだそこまで深い信頼関係ではないらしく、同じことをリングを間に置いて行うと途端にできなくなります。
この段階でつまづかない為には、初期段階から誰か協力者を作り、2人で鳥をキャッチボールのように飛ばすというのも一つの方法です。
しかし私は動物と一対一でトレーニングしている時間が好きです。なんだか本当に動物と会話している気分になりますから、そういう好みもあって極力一人で練習をします。
そんな私でも「これ、1人じゃ無理かな。」と、チラッと考えました。
考えはしたものの、今までが順調すぎたのだと思いなおして、今までの訓練に行きつ戻りつ、約一週間かかって何とかゴールの見えないリングに飛んでくれるようになりました。
これで一応、「タップ」と「リング」が違う合図になったということになります。
距離にすれば1m50cmもないのでしょうが、また一歩、野望に近づきました!