コンゴウインコのチビちゃんのフライングフォーム改造計画 その6
何とか、ゴール地点が見えなくてもリングに向かって飛んでくれるようになったチビちゃん。
しかし、ここからまた距離が伸ばせません。観客席は足場が悪くて、私が上手く動けないのです。
絶妙に邪魔な位置にある手すり。
自分の手からスタートした鳥を、リングの反対に回って自分でキャッチするのですから、足元を見ている余裕はもちろんありません。
リングをくぐる練習で大切なのは、最初はできるだけリングが広く見える突入角を作ってあげることです。つまり、まず真正面からくぐる練習をして、だんだんスタート側の距離の方を伸ばします。十分に距離ができたら、少しづつスタート地点を横にずらして角度をつけていくのです。
これを、鳥に悟られることがないくらいにほんの少しづつ距離を伸ばし、角度をつけていけば・・・理想を言えば、いつの間にかブーメランのように遠くのリングをくぐって帰ってきてくれるようになるはずです。
しかし、邪魔な手すりがありやがる上に、足元は階段です。この手すりより手前で飛ばす為には、一気に階段で6段分下から、そして約2m横からスタートする必要があります。
これまでの訓練同様、一か八かはしたくないので、リングの方をほんの少しづつ上にあげてゆくという方法をとらざるを得ませんでした。このデメリットは、鳥が疲れやすいということ。こちらがちょうどよい位置にフライを上げるように投げてあげるのは難しいですから、自分の筋力でバタバタと上昇しないといけないからです。
しかし一方でこれは、鳥にとっての良い筋トレになるという側面もあります。
そんなこんなで、なんとか手すりの手前から飛べるようになったのは、前回の訓練からさらに一週間が経過した頃でした。
この仕事をしているとよく、「動物相手に根気が必要でしょう」と言われますが、毎日ほんの少しずつでも収穫があるので、変化を楽しんでいるんですね。釣りは短気な人の方が向いているといいますが、なんとなくそういうものだろうなと思います。
ちなみに、このチビちゃんの訓練シリーズを書き始めたのは前回の内容くらいの頃だったと思います。書き始めたはいいものの、最初の壁に突き当たり、本当にショーで行っていた頃のレベルに戻るのだろうかと思っていました。
なんとかその壁をクリアできたところで、また今回の壁ですから、内心はかなり不安でした。
しかし本来、その動物ができる能力を見せるのがショーですし、できないことを無理して行うのも本末転倒なので、できなければその能力に見合った演出を考えれば良いとも考えていました。
そんなこんなで、まだまだ先は長いなあと考えました。