ペンギン訓練の思い出 その1 ペンギン訓練指導のいきさつ
カドリーホールという屋内施設でショーを行うのが当たり前となった贅沢な今の環境では、ペンギンショーのスタッフ達には頭が本当に下がります。
夏は暑いし、もうすぐ寒い冬がやってきますしね。
数年前にリニューアルしたペンギンショーのステージ。
ペンギンが宙に浮いて見えるのは、もちろん背景の写真です。
私は、今はほとんどアニマリュージョン!専属スタッフです。カッコよく言えば「スーパーヒラ」です(笑)。しかし過去にはカドリーのショー全体の訓練指導をしていた時期がありました。まだ、みやざわ劇場が無かった頃の昔です。
ペンギンショーの立ち上げの頃は、まだ外部からクマの訓練を指導して下さる先生が来ていて、その方の指導のもとでスタートしました。
立ち上げ後しばらくして、その先生の契約も切れ、さらにその後、訓練の専門知識を持たない新人の女性スタッフのみでペンギンショーを行わなければならない時期がありました。
当時のペンギン飼育は人に慣れていない成鳥でスタートしました。しかし、約一年間のオープニング担当スタッフの熱心な馴致のおかげで、ショーができるようなった頃には、人にはかなり慣れました。
今でこそ行動展示だなんだと言われますが、ちょっと昔の動物園のペンギンと言ったら、じっとしていて動かない方が当たり前でした。しかしカドリーのペンギンは、ショーをすることで他の動物園に比べて格段に動くので、かえって健康で食欲もありました。
ただ、その後を引き継ぐことになった動物訓練経験の少ない新人スタッフには重荷だったようでした。
餌をもらおうと群がってくるバーゲンセールのおばちゃんみたいなペンギン達は、時として人間の手を噛んでくるくらいの勢いなので、どうしても怖くて手をひいてしまう、するとペンギンの信頼を失うという悪循環があったりしました。
簡単に言うと、餌づけはできているから「オイデ」はできているけど、「マテ」と「イケ」の合図がないのです。
それゆえ、ペンギンと正しい距離間が保てないという問題があるように見えました。
これを私は、クマの訓練で培ったノウハウ、特に体の使い方でなんとかできるのじゃないかと考えたわけです。
そこで、これからしばらくは私のかなりマニアックで特殊な訓練理論を、ペンギンを使って表現してみたいと思います。一般の方々がどこまで理解できるか、いや、多分理解できないかもしれません。当時の写真も私の手元にはありませんし、単なる私の地味な備忘録になるかもしれません。でも、いつかは書いておきたいと考えていたことです。
ちなみに、今のペンギン達は自家繁殖で子供の頃からよくスタッフに慣れているし、当時私が直接指導したスタッフも今はもういません。
今のペンギンスタッフ彼ら彼女らのやり方で、昔以上にとても上手にできていると思います。だから、とりあえず今のペンギンショーの内容と私の訓練法はイコールでないことを先に明記しておきます。
このシリーズ、きっと長くなりますよ。