「吠えろ」考
スタンダードプードルのサンディちゃんは、大型犬の子犬らしくエネルギーが有り余っていて元気な子でした。
地震がある少し前に担当することになり、地震のあとは、その屈託のなさにずいぶん癒されました。
特にゲージから出す時やお散歩開始の時など、本当にうれしそうに吠える犬でしたから、こんなに明るく吠えるサンディには、「ホエロ」を教えてみる価値があると思いました。まだしつけと言えば、「ハウス」は覚えているけれど、「オスワリ」も完全に覚えていないような時期です。
シェパードのハチローは、「ホエロ」ができます。子供の頃はシャイでなかなか吠えてくれなかったハチローよりは、教えるのは楽だと思いました。
しかし、これが結構難しいんです。
釣り人に言わせると、「見えている魚ほど釣れない」らしいのですが、普段は放っておいても吠える犬でも、あえて吠えさせるのって簡単じゃないんですね。新たな発見でした。
長くならないように訓練課程は大幅にカットしますが、簡単に言うと・・・
1.いつ吠えるかの観察。サンディの場合、広場でノーリードになる時が一番うれしくて吠える。
2.吠えたご褒美にノーリードにしてあげる感じにし、吠えた時に「そう、ホエロ」とコマンドを乗せる。
難しいのは、初期段階でどこまで欲張るかです。
一回吠えた後、もう一度肯定して吠えさせてからご褒美にリードを外してあげたいのに、犬が吠えるのを止めてしまうと、吠えた罰でリードを外してもらえなかったことになっちゃいます。
それでも少しづつ上手くなりますが、まだ理解はしません。
「朝のお散歩中の、最初にリードを外してあげる時の儀式」と思っているようで、それ以外の時には吠えてくれないからです。
結局、ちゃんと「ホエロ」を理解したのは、フライングディスクを教えるようになって、ディスクという楽しいご褒美のモチベーションができてからのことでした。
教え始めてから、3ヶ月くらいかかったことになります。
私の経験上、大型犬は一歳過ぎてから急速に理解力がつきますから、それより前に躾以上の範囲である芸事を教えようとしても無駄が多いようです。まさにサンディの「ホエロ」などは、教え始めを2か月遅らせても、最後の一ヶ月で同じ効果が得られたのではないかと考えています。
では、なぜ早めに教えたかというと、あることを試してみたかったのです。
それは、「無駄吠えする犬の対処法の一つとして、無駄吠えを利用してホエロを教えてしまって、覚えたら後はホエロと言わなければいいだけ。」という理論です。
誰から聞いたことなのかは忘れてしまいましたが、理屈としては面白いというか、動物訓練の理屈を理解するヒントにはなる話です。
だから、無駄吠えが多い若いうちにこそ、教えておきたかったのです。
冒頭の写真も吠えているのですが、こちらの方がわかりやすいでしょうか。
で、めでたくホエロを覚えたサンディちゃん。
無駄吠えはというと・・・
全く、なくなりませんでした。
朝のお散歩はサンディだけ別行動なのですが、今も他の犬たちのお散歩中は、ずうっとケージの中で吠えています。
・・・専門家に相談しようかな。